キャリアの探索―自己分析と出会い 後編│高槻赤十字病院│山本晴香 先生

医師の新しいキャリアや働き方にフォーカスする「D35」は、実際に医師の可能性を広げられている先生にインタビューし、可能性を広げた先にある景色、そして、そこに至るまでの障壁や葛藤についてお話を伺っています。

今回は、学生時代から国際会議への参加や臨床推論の団体運営など活躍の場を広げている山本晴香先生(高槻赤十字病院/呼吸器内科)にインタビューを行いました。

後編では、キャリアに大きな影響を与えた様々な出会いについて、じっくりとお話を伺いました。

>>前編はこちら

目次

自分の将来のキャリアを決める時は、まずは自己分析が大切

Antaa 西山

そうすると、山本先生は選択肢が広がり、スキルも磨きながら進んでいくキャリアについて、現時点で考えていることはありますか?

山本先生

医学の博士号はゆくゆく取得したいと考え、大学院進学について考慮しています。また、海外留学もどこかのタイミングでしたいと考えており、TOEICを受けたり、TOEFL ibtに向けて英語の勉強も進めています。

Antaa 西山

なるほどですね。ちなみに、留学はすでに行くタイミングが決まっていたりするのでしょうか?

山本先生

いえ、まだ具体的にどうするか決めかねています。ただ、少なくとも英語を話せるようになるために努力しておかなければならないし、維持もしなければなりません。そのために定期的に英語のレッスンを受けています。

Antaa 西山

そうなると、いつでも留学できるように準備をされているわけですね。

ちなみに、留学を含む重要な意思決定の際に、他の人のアドバイスや情報があると選択がしやすくなるのではないかと思うのですが、何かそういう経験がありましたか?悩んだ時に役立つ情報や相談先があれば、意思決定がしやすくなるのかなと思ったのですが。

山本先生

それは本当に個人によると思います。自己分析ができているかどうかが重要なのではないでしょうか。例えば就活などで自己分析シートを作成することがありますが、自分が何をしたいのか、自分の強みや悩みは何かを明確にすることが大切だと思っています。
『自分を知らないものは他人もわからず』という言葉がありますね。

Antaa 西山

なるほど、他人からの情報よりもまず自分自身の自己分析が重要なのですね。自分自身を理解することが先決であり、自分の大切にしていることや自分の強みを把握することが大切なのかもしれません。

山本先生

そうですね。まずは自己分析を行い、自分が何をしたいのかを理解し、自身の強みや悩みを把握し、それを生かすためにどのような行動を取れば良いのかを考えることが重要です。自己分析を行うことで、自分に合った環境やマッチング先を見つけることができるかもしれません。

Antaa 西山

いいですね!
選択肢は多岐にわたり、また機会もたくさんありますが、まだ具体的に自分がどのようなキャリアを歩んでいきたいのかは見えていないとおっしゃっていましたね。

山本先生

そうですね。現時点では想像がつきません。とりあえず、チャンスがあればそれを掴めるように準備はしていますが、決定することは難しいと感じています。ただ、臨床を続けたいという思いはあります。例えばコンサルティングや起業などに関わる機会があっても、週に1回程度でも臨床活動を行いたいと思っています。

山本晴香先生

キャリア形成に悩む後輩に言葉をかけるとしたら、、、

Antaa 西山

それでは、別の質問に移りますが、もし後輩や将来キャリアに悩む人がいた場合、どのようなアドバイスをしたり、どのように選択すれば良いか、どのような人に相談すれば良いか、などありますか?

山本先生

まずはその人自身ですね。その人の学年や悩んでいる内容が具体的にどういうものなのかを聞く必要がありますが、例えば専門医を取りたい場合、その診療科の規模や指導医を取った後にどんなキャリアを目指したいのかなどを聞くのが良いと思います。アドバイスするよりも、まずはその人自身の内面に答えがあると思うので、そこを聞いてあげることが良いのかなと思います。実際に患者さんと話していると、彼らが悩んでいるように見える場合でも、彼ら自身の中に答えがあることに気づくことがあります。

私の最近のメンターで、呼吸器内科の医師としても非常に優れた方で、留学経験もあり、彼は投資なども行っています。その方と関わる中で、私も投資に興味が出てきましたので、、お金について学ぶこともチャレンジしていこうと思っています。具体的には、簿記やファイナンシャルプランナーの資格は持っていませんが、少し学んでみたいですね。

Antaa 西山

周りの同級生も同じような感じでキャリアに悩んでいるようですか?山本先生の興味の幅が広いため、同じような同級生はいないのかなと思いましたが。

山本先生

あまりいないと思います。周りの同級生は多分、プライベートな生活があり、結婚や子供の誕生などのタイミングがありますので、エネルギーがそれに分散されていると思います。ですから、子供の教育に力を入れるなど、緊急性が高くてキャリアよりも優先されることが多くなっているのではないかと思います。

Antaa 西山

確かに、日常生活を考えながらのキャリア選択は大変ですね。子供が生まれるとまた状況が変わることもありますし。周りの先生方は、キャリアとプライベートの両立を図っている中で、山本先生はプライベートの割合が多い状態でキャリアを進めているのでしょうか?

山本先生

そうですね。プライベートの両立は、おそらくパートナーとのコミュニケーションの取り方や価値観の違いによる部分もあると思います。それに加えて、妥協する範囲や話し合う能力がどれだけあるかも重要です。多くの人々は上手くできないことが多いため、悩みが生じるのかもしれません。

Antaa 西山

お互いが理解し合えないというのは、本当につらいですよね。

山本先生

そうですね。だから、おそらくそれが分析不足によるものだと思っています。
自己分析ができていると、自分の考えを明確に言語化できるので、相手にも伝えやすくなります。

Antaa 西山

興味深いですね。話を伺っていて、山本先生は自分自身を客観的に見る能力が優れているのかなと感じました。自己分析も含めて、それは以前から持っていたのでしょうか?何かきっかけがあったのでしょうか。

山本先生

自己分析については、以前に様々な活動を行っていた時期に自分自身をどのようにプロデュースするかを考えた経験があったことが今につながっている気がしますね。

Antaa 西山

自己分析の大切さがとても伝わってきました!
本日は、お忙しい中、貴重なお話を頂きありがとうございました。

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山本 晴香 呼吸器内科
滋賀医科大学卒業。沖縄県立中部病院にて初期研修後、滋賀医科大学大学病院で呼吸器内科医を経て、高槻赤十字病院で呼吸器内科として従事。仕事の傍ら、名古屋商科大学大学院のビジネススクールにてビジネスも学ぶ。

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